スギ花粉症

暖かく過ごしやすい日が増えてまいりましたが、同時に花粉症でお悩みの方も多いのではないでしょうか?今回は特に春先に多く悩まされるスギ花粉症について書かせていただこうと思います。

 

そもそも花粉症とは植物の花粉が原因となってくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどのアレルギー症状が引き起こされる疾患です。特にスギ花粉が原因となるものをスギ花粉症と言い、日本人の約4人に1人がスギ花粉症と言われるほど身近な疾患となっています。

スギ花粉症は花粉症の症状だけではなく、皮膚に花粉が付くことでスギ花粉皮膚炎と呼ばれる皮膚症状が現れることもあり、さらにアトピー性皮膚炎の約30%の患者さまはスギ花粉で悪化すると考えられています。

 

スギ花粉症の治療として外出時に眼鏡やマスクでスギ花粉(アレルゲン)を避ける、症状を起こす物質の働きや鼻の中の炎症を抑える薬を使用する薬物療法、神経を遮断する手術療法などがありますが、当院では『舌下免疫療法』と呼ばれるアレルゲン免疫療法を行なっております。アレルゲン免疫療法では体をアレルゲンに慣らして症状を和らげ、根本的な体質改善が期待できます。

 

舌下免疫療法は1日1回治療薬を舌の下に置き、決められた時間保持したのち、飲み込んでいただく治療になります。初回は薬局から薬を持ってきていただいて内服していただき、待合室で副作用がないか30分ほど経過観察します。7日目まで少量から服用を始めていただき、その後問題がなければ通常量を服用していただきます。数ヶ月で効果が見られると言われており、約3〜5年の長期にわたり正しく継続して治療していただくことで最大の効果が得られるとされています。

舌下免疫療法の特徴として、舌下に治療薬を投与するため、もう一種類のアレルゲン免疫療法である皮下免疫療法のように注射が不要で痛みがなく、自宅で服用していただくことができます。

 

副作用で口の中の副作用(口内炎や舌の腫れ・口の中の腫れ・かゆみ・不快感など)、喉のかゆみ、刺激感、不快感、耳のかゆみ、頭痛などがあり、持病によっては治療を受けていただけない場合もございます。患者さまの正しい理解が必要となる治療になりますので、気になることや不安なことがあればお気軽に当院のスタッフまでお声がけください。

 

○参考文献

・鳥居薬品株式会社 2019年1月作成 よくわかるスギ花粉症の免疫舌下療法

監修:日本医科大学大学院医学研究科 頭頸部・感覚器官科学分野 教授 大久保公裕

 

・横関博雄 2015 スギ花粉症と皮膚炎(スギ花粉抗原による空気伝搬性接触皮膚炎) 全日本病院出版会 Derma 229,p149-155

さの皮フ科クリニック|京都|

2021年3月30日 火曜日