皮膚のかゆみ

皮膚科での重要な仕事としてかゆみをとめるということがあります。

かゆみのために生活の質、睡眠障害、生産性・集中力の低下、外見の悪化、感染などのため社会的損失が大きいといわれています。アトピー性皮膚炎などは働き盛りの20代から40代で約半数を占めるようです。アレルギー性皮膚疾患の労働生産性障害率は39.5%を占め、スギ花粉症と同等の社会的損失だそうです。1か月あたりの試算は4690億円の損失となるそうです。かゆみを止めることは我々皮膚科医にとって社会のための最重要課題といってもいいかもしれません。

かゆみは皮膚そのものがかゆい末梢性のものと神経からくる中枢性のものがあります。2つのかゆみが複合的に絡まり合い悪循環が生じます。もちろん内臓疾患(肝臓病、腎臓病、糖尿病、白血病、悪性腫瘍など)もありますので採血などの原因検索も必要です。

かゆみは夜に強くなる傾向があります。交感神経が有意な昼間はかゆみを抑えるノルアドレナリンがでているからです。集中しているとかゆくなく、リラックスしているときや夜などはかゆみが生じやすいということになります。かゆみを回避するためには頻回の入浴、サウナ、アルコール、辛い食品、カモミールなど精油などを避けること。アトピー性皮膚炎の方はハウスダスト・ダニは避けた方が良いといわれています。

おすすめは中性の石鹸やシャワーオイルの使用、ぬるい湯での20分以内の入浴、濡れた体を拭くときは押し拭き、入浴後の保湿のスキンケアがよいです。その他痒いときは冷却することが代表ですが通気のよい素材の服、ウエットラップ法、タンニンを含む紅茶のパック、夜間のかゆみに尿素やカンフル(樟脳)、メントールなど、局所麻酔作用のあるポリドカノールやタンニン酸製剤などの外用などもあるそうです。

入浴の温度ですが皮膚のバリア機能回復には36度から40度以下がよく、42度以上はバリア機能回復が遅れるそうです。温度差もかゆみの原因となり、服を脱ぐときは服をパタパタ仰いで外気温をなじませてから脱ぐといいそうです。確かにお風呂入る前に脱ぐと痒くなり、お風呂に入るとかゆくなりますね。

さの皮フ科クリニック|京都|

2018年9月2日 日曜日