夏はアウトドア活動や自然に触れる機会が増えますが、それと同時に虫刺されの悩みも増加します。そんな季節の悩みについて、原因や対処方法、予防策などを探ってみましょう。
【症状と原因】
虫刺されとは、虫に刺された際その部位と周辺にかゆみを伴う赤い発疹・腫れ・水ぶくれなどの症状が現れるものです。原因となる虫には蚊やノミ、ダニ、ハチ、ブヨ、ムカデ、毛虫などが挙げられます。
ハチに刺された場合、1度目は強い痛み・赤み・腫れが生じます。2度目以降の場合は強いアレルギー反応が現れることがあり、重症の場合では意識消失や呼吸困難、血圧低下などのアナフィラキシーショックを起こすことがあります。
これらの強いアレルギー症状が現れた場合は、命に関わることもあるため、救急対応が可能な大きな病院に搬送する必要があります。
【対処方法】
ハチに刺された場合はまず安全な場所に移動して安静にし、保冷剤などで患部を冷やします。意識がはっきりしない、息苦しそうにしているなど、アナフィラキシーが疑われる場合は迷わず救急車を要請してください。
ガや毛虫等の毒針に触れた場合、早期であれば粘着テープを数回貼り剥がしたり、泡立てた石鹸で洗い、シャワーで勢いよく流すことで皮膚に刺さっていない毒針の大半を除去することができます。
蚊などの通常の虫刺されであれば保冷剤や氷を当てることで炎症を鎮め、かゆみを軽減できます。強くこすったり爪でかきむしると、皮膚が傷つき感染症のリスクが高まるので注意が必要です。
【予防策】
①外遊びや庭仕事をするときは長袖や長ズボン、帽子を着用して肌の露出を減らす
②肌が露出する部分には虫除け剤を使用する
③ハチの巣に近づかない
④ハチ避けのため、黒い服装は避ける
⑤強力な虫よけ剤の成分である※ディートは幼児の顔への使用・生後6カ月未満の乳児への使用は控える
※ディート
日本では50年以上使用され、1回の使用で長時間効果が保つことから、世界的に最も多く使用されている虫よけ成分です。吸血害虫の感知能力を撹乱し、吸血行動を阻止する効果を持っています。
当院では毎年たくさんの虫刺され患者様が受診されます。「虫刺されくらいで受診していいの?」「虫刺されくらい市販薬でなんとかなる」と仰る患者様もいらっしゃいますが、虫刺されは強い炎症のため市販薬が効きづらいこともあります。また、虫刺されから感染症に罹ってしまったり、見た目が虫刺されと似ているが実は別の疾患だった、という場合もあります。ご希望の方には実際にお薬を塗りながら塗り方のご指導も可能です。ご心配な場合は遠慮なくご受診ください。
参考文献
Dr.夏秋の臨床図鑑 虫と皮膚炎 皮膚炎をおこす虫とその生態/臨床像・治療・対策.夏秋優.秀潤社.2013
Visual Dermatology 2022年臨時増刊号 皮膚科の指導箋 日常診療で扱う100疾患.佐藤 俊次 (責任編集・著).Gakken.2022
アース製薬 虫よけの安全性 ディートとは https://www.earth.jp/saratect/safety/deet/