日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 京都駅前さの皮フ科クリニック 院長 佐野 陽平   参考文献:MB Derma,294:267-270,2020

赤ら顔を悪化させないためには遮光が必要です

赤ら顔を悪化させないようにするためには遮光が必要なことは皆さんもよくご存じかと思います。

今回はより具体的にお話ししたいと思います。

太陽光線には光の波長の長さによって分類されます。

皮膚に影響があるものとして

①紫外線(UVB290~320mn、UVA320~400nm)

②可視光線(400~780nm)

③赤外線(780nm~)などがあります。

赤外線は太陽光の42%を占めています。皮下組織の深くまで到達します。

赤外線や可視光線のもつエネルギーは皮膚に到達した後にすぐに熱変換されるために温熱作用、血管拡張作用が生じます。可視光線も速やかに真皮下層から皮下組織に達します。

遮光は基本的に光老化や皮膚ガンの予防にもなるので、美しい皮膚の健康を保つ上でも重要です。

アトピー性皮膚炎などの顔面に炎症がある場合にも炎症を悪化させない効果があります。

UVBの暴露はドライスキンを助長します。

遮光方法について

具体的な遮光の方法としての対策は3つあります。

  1. 光線の特徴や皮膚への影響を知識として知ること
  2. 化学的遮光(日焼け止めの利用)
  3. 物理的遮光(無駄な外出の制限、日傘、帽子、長そでなど服装による工夫)

 

対策1光線の特徴や皮膚への影響を知識として知ること

日常生活における遮光の知識の基本として、気象庁ホームページなどから適宜紫外線情報を入手しておきます。

紫外線は1日のうちで10時から15時が強いです。ピークは12時から13時が最も強いです。

年間を通してみると最も強いのは6月です。周辺の4,5,8月も月間の総紫外線量は多いです。

梅雨で日照りが減ったときはもちろん紫外線も低下します。晴れを強度100%としたら曇り60%、雨20%の強度を示します。

湿度が低い方と水蒸気に吸収されない分紫外線が多くなります。湿度の低い5月、10月の方が真夏よりかえって紫外線強度が高いときもあります。

緯度が高くなるにつれて(北へ行くほど)紫外線強度は低下します。日本は縦に長い国なので2倍くらいの差があります。沖縄は札幌の2倍程度のUVインデックスを示します。標高も1000メートル上昇するにつき10%増加します。空気が澄んでいるとさらに増加します。

屋内はまだましですが、屋外は日陰にいても直接光の影響は無視できますが太陽の方向を向いているとエアロゾルなどの空気中にある粒子からの散乱光があたるので、結局紫外線暴露を受けます。

対策2科学的遮光(日焼け止めの利用)

光線過敏症であれば通常の日焼け止めも効果があります。

ただし、塗布範囲、塗布量、回数が正しくないと効果は半減します。

理想としてはSPF50以上、PA3+以上を3時間ごとに厚めに塗りなおしてください。

赤外線は日焼け止めの効果は乏しいので、直接日光を物理的に遮光したり、

皮膚の温度が上がらないように一定にする工夫や対策が必要です。

じつは近赤外線もブロックできる日焼け止めが近年開発されております。

しかし、現実的に高額になりすぎて商品化は現時点では難しそうです。

湿疹がある場合は低刺激性の紫外線吸収剤無配合、あるいは保湿効果を伴うような日焼け止めがいいでしょう。

 

対策3物理的遮光(無駄な外出の制限、日傘、帽子、長そでなど服装による工夫)

物理的には自宅なら窓にスダレやカーテンをすることによって屋内への太陽光の直接の進入を防げます。ガラスはUVカットフィルムなども有効です。

太陽に面している窓は遮光カーテンにしてください。帽子はひさしのおおきいハットタイプがおすすめです。

日傘は黒ければ紫外線防御未加工でも100%の遮光効果があります。

白ものでは15から30%投下するため透過0%の紫外線加工を利用してください。

ついついちょっとだけという油断が日焼けの原因ですので、しっかりと意識した対応をしましょう。

ただでさえ、赤ら顔は治療期間が長いですので。コツコツと積み重ねていきましょう。

京都駅前さの皮フ科クリニックの赤ら顔治療方法についてはこちらをご覧ください。

 

当クリニックでもオリジナルの混ざりものが少なく低刺激、高保湿の洗顔・化粧水・乳液「Scosme(エスコスメ)」の取り扱いをしております。

ご興味のある方はクリニックまでお問合せください

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