そもそも顔は皮膚の中でも赤くなりやすい部位です
赤ら顔で困っている方は深刻だと思います。他人から見える中で最も個性を表すパーツがずっと赤いのですから。日本では赤いからといって布で隠すわけにもいきません。自分だけでなく相手にも見えることがさらにQOL(生活の質)を大きく下げます。
顔面の皮膚は体表の中では最も毛細血管網が発達し血流が多いと言われています。
また全身の血流の変化や感情などの影響も大きく受けます。
体毛や成熟毛がほとんどなく、衣服などでも守られていないため、常に直接外界に暴露されています。
その為、顔は皮膚の中でも赤くなりすい部位といえるでしょう。
顔が赤くなる=全て赤ら顔ではありません
顔が赤くなる病気はたくさんありますが、大きく3つに分けられます。
- 湿疹、皮膚炎、酒さ、感染症などによる炎症性疾患、しもやけ、日光による光線過敏などの物理的皮膚障害、その他膠原病などの病気
- 様々な原因で血管が拡張したままとなった状態
- ホルモンバランスによる更年期などの血流動態の変化などです。
このように、様々な原因が考えられます。
人にとって一番大切な部位でもあるので我々皮膚科専門医も神経を遣います。
また治療が難しいことが多い疾患です。
今回参考にしている皮膚科専門雑誌の特集号でも顔の赤みの鑑別・治療に300ページ以上を50人弱の専門執筆者が手分けして書いているほどです。
シミ・しわとならぶ美容皮膚科を受診する主訴の一つでもあります。
顔が赤くなる原因別の治療期間について
よくどれくらい治療期間がかかるのかとご質問をいただきますが、
原因に応じて、対応方法・治療期間が異なります。
血管拡張が原因の場合
血管の広がったことが原因の赤ら顔の機械による自由診療ではシミ治療より効果が出にくく、治療回数が多いのが特徴です。
アトピーが原因の場合
アトピー性皮膚炎による赤ら顔は患者さんに1日2回予防治療外用薬(プロトピック、コレクチム、モイゼルトなど)をしっかり外用してもらっても赤みが目立たなくなるのに2,3年はかかりますと説明しています。実際5,6年かかる患者さんも結構いらっしゃいます。
にきびが原因の場合
にきびも患者さんが皮膚科に行くと一週間程度で治してもらえると思っている患者さんが8割程度いらっしゃるというアンケート結果を聞いたことがあります。
ニキビも現在保険で予防治療(いわゆる軽いピーリング)ができるようになりました。重症度にもよりますが患者さんには2,3年は覚悟してほしいと説明します。
実際ニキビ患者に見えなくなる状態、要するに見た目でニキビなく、毛穴のつまりもなく、毛穴が広がったような昔の跡形だけになるのに2,3年以上かかる患者さんは多数経験します。
ですから赤みは長期にわたって持続しやすいので日頃の手入れが大切であることは間違いありません。
赤ら顔のスキンケア方法について
最後にスキンケアや気を付けることを中心にお話したいと思います。
化粧品の選びかた
化粧品は低刺激であることも重要ですが、ニキビがある場合はニキビを悪化させないノンコメドジェニックテストをクリアしたものの方がいいでしょう。
ファンデーションについては、クレンジングで落とす刺激もよくないので、洗顔料で落とせるファンデーションがいいでしょう。
赤みを目立たせないポイントメーク
治療に時間がかかるとはいえ、やはり赤みは気になり、なんとかしたいでしょう。
ファンデーションを厚くして隠すのは得策とはいえませんのでポイントメークをお勧めします。
コントロールカラー(赤みをカバーする目的で作られた黄色の化粧下地)やコンシーラーを使用するのです。
実際のニキビ患者さんでも使用経験は2,3割だそうでまだまだ使った人は少ないそうです。口唇やアイメークで人の視線を引き付けるのも工夫の一つです。
私たちのクリニックの課題でもあるのですが、赤ら顔の患者さんにスキンケアやメーク指導なども行えれば皆様にさらに安心と満足を得ていただき、皆様のQOL(生活の質)を上げることができると考え、説明や資料作成など試行錯誤をしております。
京都駅前さの皮フ科の赤ら顔治療についてはこちらのページをご覧ください。
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