アトピー性皮膚炎の治療への思い

自分が得するわけでもないのになぜだか頑張ってしまうことが皆さんにもきっとあると思います。

アトピー性皮膚炎の治療も私にとってその一つです。

アトピーを良くしたい気持ちで開業

開業をした理由もアトピー性皮膚炎の治療への思いからでした。アトピー性皮膚炎を治すことはできなくても治療によって良くなることはできます。勤務医のときに患者さんに「アトピーを良くしてあげたいと思っているからひどくなったら薬取りに来るのではなく、良くなるまでは週に1回くらいは来てほしい」と伝えても「先生の待ち時間は毎回数時間あるからそんなのは無理です。」とよく言われました。

確かに皆さん生きていくのに色々と忙しいです。アトピーの治療だけにお金と時間をいくらでもかけますという人は少ないと思います。しかし重症の人を見るたびに辛いだろうな、何とかしてあげたいという気持ちはあるものの勤務医では外来の工夫ができません。

皮膚科医は全員そういう気持ちでやっているものと思っていました。

ある時皮膚科専門医達とおしゃべりしているときにある皮膚科医が「自分はアトピー患者さんが嫌でみたくない」と言っていました。驚いて理由を聞いてみると「言うことを聞かない。悪くなってから来るから手がかかる。自分には理解できない。」と。その皮膚科医はアトピー患者さんへの治療経験を悪くとらえる方向に考えが至ったのだと思いました。

アトピーを良くするためのクリニックコンセプト

私は逆の考えに至りました。アトピーになり、かゆくて辛く、見た目も悪くなり、頑張ってもよくならず、どうしていいかもわからず、どこに行っても似たような薬出されるだけ、あきらめて自暴自棄に陥っているのだと。これを救ってあげることは皮膚科医になった自分ができる使命であると考えました。

私が考えたのはアトピーに見えないくらい本気でよくなりたいから頑張りたいという患者は必ずある一定以上は存在する。

その人に自分が何をできるか。

①待ち時間を少なくする

②どこでも通いやすく暇をつぶしやすい場所に開業する。

③希望者には処置をしてあげる。

④紫外線療法を活用する

⑤それらを医師一人では現実できないので同じ使命をもったパートナーが必要である

⑥そのパートナーを訓練し、皮膚科研修医に匹敵する知識と経験をつけさせる

⑦できる範囲の患者さんを救い、よくなってもらうためにパートナーに医師の代わりに説明や処置をしてもらい、医師しかできないことに集中する。

⑧診療の質を下げないように限度を設ける。

⑨通常の皮膚科より経費がかかるシステムである以上私や職員が生活できるようになるためには患者さんに選ばれ続ける結果を出す。

⑩これらを実行するには私が全責任を持ち開業する。

そして2015年に開業をしました。もちろん今でも気持ちは変わっていません。まだまだ道半ばです。夜診や土曜日は残念ですが人数制限することも多くなりました。同じ使命をもった優秀な職員が集まるようになりました。京都府立医大の皮膚科の仲間も協力してくれるようになりました。診療の質やサービスを高めるために採用・教育費用と複数の機械の購入のために協力銀行から何度も追加融資していただきました。

 

人に理解されずに精神的にも肉体的にも苦しくて辞めたいと思うことも何度もありました。それでもあきらめなかったのは「先生のおかげで夢だった子供と一緒の海水浴ができました。」「先生のおかげで定年後に夫が楽しみにしていた温泉旅行で一緒に混浴できました。」「先生のおかげで眠れるようになりました。」「先生、かゆみのない生活ってこんな素敵なことなんですね。」「え?昔アトピーだったの?って言われました。」たくさんの良くなった患者さんとの思い出が辛いときの私を支えてくれています。ある日私のスイッチが更に入るキーワードがあることに気づきました。海水浴してみたい、温泉に入りたいと言われたときです。

お陰様で多くのアトピー性皮膚炎の方に通院いただいておりますが、開業当初の思いを忘れずに治療に専念できればと思います。

京都でアトピーにお悩みの方は京都駅前さの皮フ科クリニックまでお気軽にご相談下さい。

 

アトピー性皮膚炎への思い

ただでさえ、人生を犠牲にしてまで頑張っているのに、なぜ更に私のスイッチが入るのかを深く振り返ったことがあります。寝たきりの祖母と同居していたために家族全員での旅行は大人になるまでに1度しか行っていません。私はいわゆるヤングケアラーでもありました。福井県のあわら温泉に10歳の時に行きました。海水浴に行き、波打ち際で一人で遊んでいるとかわいい女の子から海水を入れてほしいとビニール袋を渡されました。「自分でやったら」と言いましたら「私はアトピーで海水が染みるから入れない。だから頼んでいるの。」と言われました。確かに痛々しい湿疹が全身にありました。旅行から帰ってもしばらくその子のことは気になっていました。更に深く振り返るまでは思い出すこともなかったです。その女の子は今どうしているだろうと気になります。

こんなに頑張ってしまう最初の動機なのかなと思います。

普段あきらめのいい私が絶対にあきらめなかったことが3つあります。

医師になること、開業すること、患者さんをよくすることです。

スタッフ全員で一生懸命頑張っていますが、思い通りいかずに怒ってグーグルの口コミに匿名で悪評を書き込む人もいます。

匿名での悪意による腹いせでは世の中は何も良くなりません。

気になる点や改善点はクリニックのアンケートにお願いします。

当クリニックの治療でよくなったと思っていただけたなら是非ともグーグルの口コミに我々職員やこれから当クリニックで治療を頑張ろうと思っている人に向けてよいメッセージを書き込んでいただきたいとお願いしたいです。

その善意が我々スタッフや頑張ろうとしている患者さんの治療の励みや希望になります。

 

京都駅前さの皮フ科クリニック 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医 院長 佐野陽平

さの皮フ科クリニック|京都|

2022年11月4日 金曜日