適応になる症状について

当院では赤ら顔に対して、IPL照射を行っております。しかし、全ての赤ら顔に適応がある訳ではありません。顔面の赤ら顔には炎症を伴わない毛細血管拡張が美容治療の対象になります。

原因としては皮膚の薄さ、温度差、アルコールや香辛料の過剰摂取、加齢や妊娠などがあります。

しゅさ、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの炎症を伴うものは、まずは炎症を抑えてからも残る赤みに対しては美容治療の対象になります。

毛細血管が原因となる赤ら顔のタイプ

 

毛細血管が原因の赤ら顔の中でも、大きく3タイプに分類されます。

①:血管拡張が肉眼的に確認はできないが全体的に赤い。

②:皮膚表面に細い血管拡張が肉眼的に確認できる。

③:①と②が混合している。

機械による美容治療はレーザー光線によるものと光によるIPL(Intense pulsed light)があります。

炎症を伴う場合はイオン導入やエレクトロポレーションなどがあります。

IPLの歴史

豆知識になりますが、ご興味のある方はお読みください。

元々は軍事目的で開発されたIPL

IPLは軍事・レーザー機器の先進国であるイスラエルで開発されました。

実は医療用ではなく、戦闘機を昼間と夜間でそれぞれに目立たなくさせるために塗装の色を短時間で変える必要があるために開発されました。IPLのテクノロジーは戦闘機の塗装を光の力で瞬時に剥離し、塗り替える技術であり軍事テクノロジーの一種です。

現在シミやくすみなどの若返りの美容機器として扱われています。

 

血管病変(血管腫や赤ら顔)の治療目的として開発される

医療機器としてのIPLは元来、血管腫治療目的で開発されました。赤みを呈する疾患の中心である血管をターゲットにするにはミリセカンド単位の長い時間照射し、血管内皮細胞を破壊できる装置が必要となります。

皮膚の赤い疾患の代表である単純性血管腫の場合は、酸化ヘモグロビンの吸光度ピークである418nm、542nm、577nmがあります。IPLは515~1200nmをカバーしています。

単波長レーザーとは異なり、非干渉性の光をフラッシュランプにより照射します。

やけどを防ぐために冷却装置もついているのでレーザーではできないNo down timeな治療ができます。いわゆるその日に化粧して帰れるくらいの単純性血管腫の治療において優れた効果がありますが

保険治療でないために、血管腫治療器というイメージは非常に薄くなりました。

シミ治療機器として知られるようになったIPL

IPLが世の中に知られるようになったのは、長期間紫外線暴露により生じた光老化(しみ・血管拡張・毛穴開大・きめ)を改善させる治療法として顔全体に照射するテクニックを2000年に発表されたことに始まります。

メラニンの熱緩和時間より長い照射時間と、広域波長がもたらすメラニン・酸化ヘモグロビンへの吸収は色素性病変と微小血管の破壊、その拡散熱により真皮に微小損傷を起こし、修復過程において新生コラーゲンを誘導させる。現在のnon ablative skin rejuvenation(皮膚表面を傷つけずに若返らせる)のゴールデン・スタンダード治療です。

赤ら顔・酒さへのIPLの効果

今まで決定的な治療法のなかった赤ら顔=しゅさにはレーザー以外ではきわめて有効な治療機器となっています。

第1度しゅさにたいしての温度差のある環境で発症するhot flash現象に対して極めて有効であり、視覚的治療効果も十分に認められる。治療は複数回継続治療が可能です。

一旦ある程度複数回治療した場合に、数年後に治療前と比較して元に戻るということはなく、さらに治療を重ねることで再度改善することが可能です。

IPLを使用した治療は日常生活に支障なく行えるのが特徴であり、真皮におけるコラーゲン新生を促し、皮膚若返り効果を主眼に置いた長期間行える治療となっています。

リピート需要も多く、毛細血管拡張症で赤みのみならず、シミ、毛穴開大、キメの改善が得られ、現在美容皮膚科治療のベースとなる位置を担っている。

定期的に維持療法をすることによりアンチエイジング効果がありますのでお勧めです。

当院で使用しているIPL

美容皮膚科(予約制)

当クリニックではセレックV®を使用しております。9種類のフィルターがあり、きめ細やかな波長の照射が可能です。

赤み・血管病変に特化したフィルターも4種類(500-600、530-600、550-650、530-650と900-1200)あります。一般的にはシミ治療機器としての見られ方が強いIPLの中でも特に赤ら顔に対しての性能に優れたIPLと考えています。

これらによりオキシヘモグロビンとメトヘモグロビンの優れた吸収性を有することにより、

すべてのスキンタイプの血管病変治療ができます。

京都駅前で赤ら顔にお悩みの方はこちらのページをご覧ください。

 

 

参考文献:MB Derma,294:159-164,2020

文責:京都駅前さの皮フ科クリニック 院長 佐野陽平 日本皮膚科学会認定専門医

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