新型コロナウイルスが流行し始めてから約3年が経ち、日々の不自由な生活、慣れない環境から強いストレスや疲れを感じられている方も多いのではないでしょうか。
今回は、ストレスや疲れを感じているとなりやすい病気、『帯状疱疹』についてご紹介します。
帯状疱疹とは、子供の時にかかった水ぼうそうのウイルスがなんらかの拍子(免疫が弱った時)に増えて発症する病気です。水ぼうそうにかかったことがある方は誰でも発症するリスクがあり、特に高齢になるにつれて発症のリスクは高まるといわれています。日本での発生頻度は年間 1,000 人 あたり 5人程度とされていますが、70 歳以上の方であれば1,000 人あたり 10 人以上とされています。また、冬より夏の方がかかる方が多いとも言われています。そして、50歳以上の成人でコロナと診断された方は対照の方と比べて約15%発症のリスクが高く、コロナと診断されてから最長6ヶ月間帯状疱疹にかかるリスクが高いことが判明しました。
帯状疱疹にかかってしまう原因として多く見られるのが、年齢や精神的ストレスによる免疫力の低下です。そのため、帯状疱疹にかからないように十分な休息をとり、ストレス発散をするように心がけましょう。また、帯状疱疹にかかってしまった場合もいつも頑張っていらっしゃるお仕事を少し休んで、お身体を労ってあげてください。
そして、帯状疱疹の合併症でもっとも頻度の高い症状として帯状疱疹後の神経痛があります。神経痛は人によって様々ですが、しっかりと飲み薬を飲むことで軽減される方もいらっしゃいます。あまりにも強い痛みが続くようであれば痛みの専門家へと紹介する場合もございますので、診察時にご自身が感じていらっしゃる痛みの度合いを詳しく教えていただければと思います。
また、帯状疱疹にならないように予防したい!という患者様には帯状疱疹のワクチンがございます。当院でも、一度診察に来ていただいた際に事前予約をしていただきお取り寄せした後の接種という形にはなりますが、受けていただくことができますので気になる方はご相談いただければと思います。
(参考文献)
1)帯状疱疹ワクチン 渡辺 大輔
特集:ウイルス感染症ワクチンの最前線 68巻 1号 p.21-30
2)帯状疱疹とその予防に関する考察 神谷 齊・浅野 喜造・白木 公康・中野 貴司・比嘉 和夫
感染症学雑誌84巻6号 p.964-701
3)帯状疱疹の痛みのメカニズム 横田 敏勝・檀 健二郎・小山 なつ
日本ペインクリニック学会誌 5巻2号 p.112-118
4)1.帯状疱疹 浅田 秀夫
日本老年医学会雑誌 58 (1), 48-53
5)Visual Dermatology Vol.21 No.10 特集:ウイルスと皮膚疾患ーー新しい考え方
6)Bhavsar A et al:Open Forum Infect Dis 9:ofac118