アトピー性皮膚炎の寛解状態

アトピー性皮膚炎の寛解

暑くなり、汗をかくことが増えてアトピーが悪化しました、という声をよく伺います。汗で悪化されるアトピー患者さんにとっては夏は厄介な季節かもしれません。

そもそもアトピー性皮膚炎という疾患は良くなったり悪くなったりと湿疹を繰り返す慢性的な疾患です。
湿疹に対してはステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服などの治療が必要になりますが、目に見える湿疹が良くなった後、すぐに治療を中止してしまい、また湿疹が再燃する…頻繁にこの繰り返しになってしまうと生活の質は低下しますし炎症後色素沈着と呼ばれる黒ずみも残ってしまいます。

このような頻回の改善、増悪を繰り返さないようにするために寛解状態を維持することが大切になります。ここでいう寛解状態とは「痛みや痒みなどの不快感がない状態」と定義します。

では、寛解状態を維持するための治療について、いくつかご説明いたします。

①保湿剤の塗布
アトピー患者さんのお肌は加齢、日光、アレルゲンなどの外的刺激からの保護が必要です。保湿薬はそういった様々な外的刺激から保護する作用を期待できるので、必須と考えられています。保湿剤にはさっぱりした化粧水のようなものからしっかりとした保護力の高い軟膏タイプまで様々な質感があります。ベタつきが気になって保湿剤を使えない、という方も是非一度ご相談ください。

②タクロリムス軟膏やJAK阻害外用薬の使用
ステロイド外用薬は皮膚萎縮や血管拡張などの副作用があるため、漫然とした長期投与はできるだけ避けたほうが望ましいです。そのため寛解状態になったら、ステロイド以外の抗炎症作用のある外用薬に変更して外用を継続していただくことを推奨しています。

ただし、寛解後もお肌の状態に応じて再度ステロイド外用薬が必要となる場合もあります。自己判断せず、医師の指示に従ってください。
※寛解状態の維持には上記以外にも様々な治療方法がございます。

当院ではアトピー性皮膚炎の患者さんもアトピー患者に見えなくなることを目指して治療、指導をおこなっています。湿疹が良くなってもすぐ繰り返して湿疹の跡の黒ずみが気になる、いい状態をしっかり維持したい、そういったお悩みをお持ちの方はぜひ一度ご受診くださいませ。

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引用・参考文献
名嘉眞武國.各疾患に対する再発抑制・寛解維持について,Visual Dernatology,2021,Vol20,No11,p1102-1105

 

 

さの皮フ科クリニック|京都|

2022年8月26日 金曜日