赤ら顔について

顔の赤みに悩まれている方は多いのではないでしょうか。一言で赤ら顔といってもその種類は数多くあります。
例えば、シャンプーや化粧品による接触性皮膚炎、ニキビ、脂漏性皮膚炎、酒さなどです。最近ではマスクのトラブルで赤みに悩まれている方も多く受診されています。

今回はその中でも慢性的の炎症が生じる疾患である「酒さ」についてお話させていただきます。
酒さとは顔面に生じたびまん性紅斑、毛細血管の拡張、ほてり感が長期にわたって持続する、原因不明の難治性慢性炎症疾患です。
酒さには重症度によって4つの種類があるといわれています。
① 毛細血管の拡張、ほてり感が主の紅斑毛細血管拡張型酒さ(第1度酒さ)
② ニキビのような丘疹膿疱型酒さ(第2度酒さ)
③ 鼻部を中心に腫瘤を形成する鼻瘤(第3度酒さ)
④ 眼瞼、眼球結膜の充血を伴う(第4度酒さ)
に分類されています。
ほとんどの患者様が温度変化や日光など外界の変化、精神的緊張などの情動変化によって赤みの増悪を感じます。
(治療について)
酒さは保険での治療方法がいまだに確立されたものがないといわれています。
基本的に悪化因子を避けることやスキンケア、外用薬を使用する治療になります。

当院で酒さを疑い保険治療を行う場合、まず酒さなのかどうかを判断するため抗生物質を一定期間内服していただき経過を診ます。(臨床的診断のため)
希望の方には皮膚を切り取って生体検査を行うことも可能です。その場合大きい病院へご紹介させていただきます。
酒さの場合抗生物質で症状が軽減しますので、酒さの判断基準となります。
ただ抗生物質は副作用も多く、あくまで診断をつけるための内服という形になるため、3か月以内に中止していただき長期での処方は基本的に行っておりません。

外用薬としてはロゼックス(メトロニダゾール)(保険適応)、アゼライン酸(自費)を使用します。
ロゼックスは抗寄生虫薬の一種で、昔から酒さの治療として使用されてきました。ポツポツとした酒さができている場合、保険で処方しております。
アゼライン酸(AZAクリア)は炎症を抑える効果を発揮する化粧品です。海外では酒さやニキビの治療薬として使用されています。慣れるまでは刺激感のあるものですが、長期的な副作用もなく安全な薬剤です。肌に合えば再発予防として、酒さを予防する目的でも使用できます。またアゼライン酸は、角化を抑制する作用、皮脂の分泌を抑制する作用、抗菌作用があることからニキビ、酒さに対しての効果や、メラニンの生成を抑制する効果や抗炎症作用があり美白、ニキビ後の色素沈着にも効果があるといわれています。当院では、1980円(税込)で自費で販売しております。

(施術)
また当院ではそういった顔の赤みでお悩みの方にはIPL(フォトフェイシャル)やイオン導入をおすすめしております。
IPLは今まで決定的な治療方法のなかった皮膚科領域における赤ら顔には有効な治療機器と言われています。
光の照射により、酒さの赤みや毛細血管拡張症の原因である拡張した毛細血管を収縮させることにより赤みが目立たなくなります。
またイオン導入は電気の力で美容成分を肌に浸透させる施術になります。当院ではトラネキサム酸・ビタミンCの2種類の薬剤を使用しており、酒さの慢性的な炎症を抑え、赤みを軽減するのに非常に有効だといわれています。

冒頭でも申し上げた通り、顔の赤みは酒さだけではなく様々な原因がありそれらを見分けることは非常に困難です。自己判断で使用した薬で悪化されたという患者様も数多くいらっしゃいます。
顔の赤みに悩まれている方は是非、一度皮膚科にご受診いただきご相談ください。

・IPL(フォトフェイシャル) https://sano-hifuka.com/cosmetic-dermatology/post-1732/
・イオン導入         https://sano-hifuka.com/cosmetic-dermatology/skindisease-2277/      

照井正・大山学(2020年)『Derma.2020年4月増刊号「顔の赤み鑑別・治療アトラス」』

さの皮フ科クリニック|京都|

2022年7月30日 土曜日